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異星人から授けられた叡智「ドゴン族のシリウス神話」

伝説

西アフリカのマリ共和国に住む原始的なドゴン族には、天文学の最先端情報と酷似する奇妙な伝承がある。それはシリウス(太陽を除く恒星では全天で最も明るい星)に関するものだ。

ドゴン族

仮面をかぶったドゴン族

ドゴン族の神話では、シリウスの周囲を「ポ・トロ」という星がまわっている。この星は白色で、すべての星の中で最も小さく、サガラという非常に重い金属で構成されていることから宇宙で一番重いという。

「ポ・トロ」の「ポ」(別名「フォニオ」)は、ドゴン族にとって最も小さな実をつける穀物の名前からきている。西欧の学名では「ディジタリア・エクシリス」。ここから「ディジタリア」とも呼ばれる。「トロ」はドゴン族の言葉では星の意味。

奇妙なのは、このポ・トロの特徴と一致する「シリウスB」という星が実在していることだ。この星は恒星の中では最も小さく、超高密度の物質で構成された非常に重い星であり、天文学では「白色矮星」(はくしょくわいせい)と呼ばれている。非常に暗い星であるため、肉眼ではまったく見ることができない。

ところが望遠鏡を持たない原始的なドゴン族は、なぜかこのシリウスBの存在を知っていた。

他にも奇妙なことはある。ドゴン族の神話では、ポ・トロの軌道は楕円形になっており、その軌道は天体の運動に関するケプラーの法則に当てはまる。

またポ・トロ(シリウスB)が50年でシリウスを1周すること、太陽系の木星には4つの衛星があり土星には輪が存在することも知っていた。

木星と衛星、土星の環

ドゴン族が描いた木星と4つの衛星(左)、土星の環(右)
出典:ロバート・テンプル『知の起源』(角川春樹事務所)

さらに驚くべきはシリウスCの存在だ。これはシリウスの周囲をまわる第二の伴星で、ドゴン族の神話では「エンメ・ヤ」と呼ばれている。この星は従来の天文学の常識では存在が否定されていた。

ところが1995年に、フランスの天文学者ベネストとデュバンによって、6年の周期を持つシリウスCが発見された。これにより、あらためて神話の正しさが実証されたのである。

それにしても近代文明から隔絶されていた彼らは、一体どのようにして、こういった近代的な天文学情報を入手できたのだろうか。

考えられるのは異星人からの知識の伝授である。というのもドゴン族の神話には、ノンモというシリウス星系の宇宙人が古代に地球を訪れ、文明と社会を構築したという言い伝えがあるからだ。

おそらく、その頃にノンモと接触していた人類の話はほとんどが消えてしまったに違いない。しかし今も奇跡的に残る原始部族のドゴンには、古代の記憶が神話となって受け継がれたと考えられるのである。

謎解き

ドゴン族のシリウス神話は、主にイギリスのロバート・テンプルによる著書『The Sirius Mystery』(邦訳『知の起源』)で紹介されて以来、世界的に知られるようになった話である。

その話の源流をたどると、フランスの人類学者マルセル・グリオールジェルメイル・ディテルランが書いた「スーダンの・シリウス・ミステリー」という論文に行き着く。これは2人が数年にわたってドゴン族と生活を共にしたなかで、得られた情報をまとめたものである。

この論文によれば、ドゴン族の神話の主たる調査期間は1946年~1950年だという。これは言い換えると、シリウス神話が最初に発見されたのは古くても1946年であることを意味する。それほど大昔から存在が確認されていたわけではなかった。

中途半端に古い天文学情報

1946年というのは中途半端に古い。そして、実はドゴン族の神話内の天文学情報も同じく中途半端な古さが指摘されている。

木星の衛星や土星の環は望遠鏡がなければ見ることができない。その点で、4つの衛星や環の存在を知っていたドゴン族は、望遠鏡発明以降の文明に匹敵する新しい知識を持っていたことになる。

しかし一方で、現在、木星には4つ以上(2015年時点で67個)の衛星が発見されており、環については土星以外に、木星、天王星、海王星にも存在することがわかっている。つまり現在の最新情報と比べると、数十年ほど古い知識のまま止まっていることになる。

魚っぽいノンモ

魚っぽいノンモ。出典:『OUT OF THIS WORLD』

ノンモは中途半端に古い情報しか知らなかったのだろうか。それとも新しい情報は知っていたが、あえて教えなかったのだろうか。

いずれにせよドゴン族のシリウス神話は、(シリウスCを除き)その発見時における天文学の情報を超えていなかった。そのため情報は地球外からの訪問者によって伝えられたのではなく、発見当時以前の天文学情報を知っていた人間によって伝えられたのではないか、という疑問が指摘されることになる。

シリウス神話の情報源

こうした中、1991年にベルギーの人類学者ウォールター・ヴァン・ビークが新たな見解を発表した。グリオールらの情報は裏付けが取れないというのだ。

ビークは11年にわたり、ドゴン族と生活を共にして研究をした人物である。そのビークによれば、ドゴン族では非常に明るいシリウスそのものは知られていたが、「ポ・トロ」のことは、グリオールに情報提供したグループ以外にはまったく知られていなかったという。

さらにシリウスが連星であるという情報になると、その情報提供したグループの中でさえ知られていなかった。シリウスBと一致すると思われていた質量や軌道などの多くの情報は、もともとドゴン族の神話の中になかったのだという。

こうしたことは、ドゴン族と10年間共同生活を送った別の人類学者ジャッキー・ボウジョウも完全に同意している。

それでは、存在しなかった情報がどうして生まれたのか。考えられるのはグリオールによる知識の混入である。

グリオールとディテルラン

マルセル・グリオール(左)と共同研究者のジェルメイル・ディテルラン(右)
出典:『OUT OF THIS WORLD』

実は、もともとグリオールの情報提供者は一人しかおらず、通訳も一人だった。神話を記した文書もない。そのような状況では、情報をやり取りする中で自らの知識が解釈として混入する危険性があった。

ドゴン族のシリウス神話とは、そうした危険性が生み出した新たな「神話」だったのかもしれない。

机上の空論で終わったシリウスC

なおシリウスCについては、1995年に『Astronomy and Astrophysics』という天文学の専門誌に天体物理学の領域からシリウスCの存在を推定する論文が載った。

ところが論文の内容は机上の空論で終わってしまったためか、他の天文学者の支持や注目を集めることはほとんどなかった。また、私が国立天文台に問い合わせて聞いたところ、残念ながらシリウスC自体もこれまで発見されていない、ということだった。

今日、この話が生きているのはドゴン族のシリウス神話を話題にする人たちの中だけ、という状況にある。これもまた、どこかで見たような光景で興味深い。

【参考資料】

  • ロバート・テンプル『知の起源』(角川春樹事務所)
  • マルセル・グリオール、ジェルメーヌ・ディテルラン『青い狐―ドゴンの宇宙哲学』(せりか書房)
  • マルセル・グリオール『水の神―ドゴン族の神話的世界』(せりか書房)
  • 阿部年晴『アフリカの創世神話』(紀伊國屋書店)
  • 国立天文台「惑星の衛星数・衛星一覧」(http://www.nao.ac.jp/new-info/satellite.html)
  • 大地舜「『神々の指紋』のグラハム・ハンコックがトルコで謎の巨石神殿を発見」『ムー』(学研、2014年3月号)
  • Bernard R. Ortiz de Montellano「The Dogon People Revisited」『Skeptical Inquirer』(Vol.20, No.6 November/December 1996)
  • 「OUT OF THIS WORLD」 (Macdonald)
  • D. Benest and J.L. Duvent「Is Sirius a triple star?」『Astronomy and Astrophysics』(229, 1995)
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