Step3(超常現象編)


「Step1」と「Step2」では、視覚や記憶の錯誤について紹介してきた。この「Step3」では、実際の超常現象の目撃情報などを紹介していこうと思う。

まずは、UFO目撃情報の本場アメリカで空軍内に設置されていた、「プロジェクト・ブルーブック」というUFO調査機関によるUFOの正体判明率について。

これによると、報告されたUFOの正体判明率は、なんと94パーセント。 
つまり100件のUFO目撃例があったとすれば、94件までが単なる普通の物体の見違いや嘘に過ぎなかったことが調査の結果判明したのだ。

しかし、そうすると残りの6パーセントは「宇宙人の乗り物」ということになるのだろうか? もちろんそうはならない。

この場合の残りの6パーセントは、単に最後まで正体がわからなかったというだけであり、この中に宇宙人の乗り物が1つでもあるかどうかは、今後の調査の進展に期待するしかない。

とはいえ、「正体がわからない=宇宙人の乗り物」と短絡的に決めつけてしまう人もよく見かける。わからないものはわからないのであり、その正体については様々な可能性を考え、「わからないものは継続して調べる」という心構えが必要だろう。


パイロットの目撃報告

「目撃したのは(空を見慣れている)パイロットだから、見間違えや勘違いをするはずがない」というようなセリフは、テレビなどでもよく聞かれる。 しかし、これは本当でだろうか?
「UFO界のガリレオ」とも呼ばれたJ・アレン・ハイネック博士は、UFO誤認率を職業別にまとめるという作業を行っている。

それによると、軍のパイロットが1人でUFOを目撃した場合、UFOの誤認率は88パーセントにも上った。また、複数のパイロットが目撃したという場合でも、
76パーセントもの誤認率があった。

これは民間のパイロットでもほとんど同じである。1人で目撃した場合の誤認率は89パーセント。複数で目撃した場合でも79パーセントという結果だった。
また目撃証言以上に重視されるものに、レーダーの探知がある。しかし複数のレーダーがUFOを発見したケースでも、78パーセントが勘違いという結果だった。

これについて、『宇宙人とUFO とんでもない話』(日本実業出版社)の中で著者の
皆神龍太郎氏は次のように書いている。

「軍人や科学者がUFOを目撃すると、『目撃者はベテランの軍のパイロットだ。見間違えることなど考えられない』とか、『信頼できる科学者が複数で目撃しているのだ。これほど確かなUFO実在の証拠はない』『UFOはレーダーで捕獲された。これは間違いなくUFOだ』などと言い出す人がよくいる。
 だが、そんな主張にはまったく根拠がないことは、以上の統計から明らかだと思う。どうしてもそうしたことが言いたいならば『目撃者はベテランの軍のパイロットだ。だから9割は見間違えだろう』とでも、言わねばならない。パイロットや科学者からしてこの状態だから、ましてや一般の民間人のUFO目撃の信頼性については推して知るべしだろう。」


テレビなどでは、パイロットや科学者は見間違いをするはずがないなどとよく言われるが、実際にはこういった職業の人の目撃証言であっても、誤認率は非常に高い、ということがおわかりいただけるのではないかと思う。


正体がわかったもの

次は、アメリカのUFO研究団体「CUFOS」(Center for UFO Studies/UFO研究センター)が出している季刊誌「IUR」の編集長をしていた、アラン・ヘンドリーが行った調査結果をご紹介しよう。

以下はヘンドリーが集めたUFO事例の中で、正体がわかった1024例(全体の88.4パーセント)の内訳である。


恒星・惑星
35.2%
固定された地上光
0.7%
広告用飛行機
22.5%
照明弾
0.6%
飛行機
19.1%
鳥類
0.5%
隕石
11.0%
0.5%
人工衛星
2.3%
0.4%
2.2%
科学実験で出来た雲
0.4%
風船・気球(イタズラ)
1.4%
飛んでいたゴミ
0.2%
サーチライト
1.1%
蜃気楼
0.1%
風船・気球
0.9%
幻月
0.1%
ミサイル発射
0.9%
窓の反射
0.1%

 

この調査結果を見ると、「恒星・惑星」の見間違いが最も多いことがわかる。
しかし、星をUFOに見間違えたりするのだろうかと疑問に思われるかもしれない。

そこで、『コンドン・レポート』というUFO調査報告書から、見間違いに関する非常に興味深い事例があるのでご紹介しよう。
(『コンドン・レポート』とは、1966年10月にアメリカ空軍が、当時コロラド大学学長だったエドワード・U・コンドン博士をリーダーとする委員会に、UFOの研究を依頼。その後1969年1月に約1000ページにも上る膨大なレポートとしてまとめられたもの)


【ケース15】 この事例では、2階建ての建物ぐらいある大きくて青い光体が夕方目撃された。その光体は円形になったり楕円形になったりし、1週間に数回、目撃者の家から約8〜32km西に着陸したという。

目撃者は双眼鏡で観測したところ、下部からジェットを噴射するドーム型の物体で、2列の窓があるのがわかり、その物体が広範囲を照らし出していたと報告した。物体はいつも西の地平線を非常にゆっくりと降下し、「着陸」してしばらくすると光が消えたという。


【ケース37】 1967年10月20日の早朝、ジョージア州のミレッジビルで、パトロール中の2人の警官が「フットボールのような形の明るい物体」を目撃した。警官たちはジョージア州の外、約13kmの地点まで追跡したが結局見失ってしまった。

そこで、署へ帰ろうしたところ再びUFOが出現。今度は逆に警官たちを追跡しはじめた。UFOはパトカーの上空約150メートルまで接近し、そのあまりの明るさに、車内の警官たちは腕時計が読めたという。

彼らは「UFOに追跡されている」と無線連絡を入れ、車を止めたが、
UFOは森の中に隠れてしまった。
そこで2人の警官は一度署に戻り、もう1人の警官を連れて戻ったところ、UFOは木の高さの2倍ほどの位置におり、色を赤からオレンジ、白へと変化させて除々に消えてしまった。

その後、4日間にわたりUFOはこの地区に出現し、ハイウェイで車を追いかけたりといった行動を取った。また、UFOに近づくために森林パトロールの飛行機を発進させ、パイロットはUFOが沼地から飛び上がり、機から離れるようにまっすぐに飛ぶのを目撃したという。

さらに、その際パイロットが近くの空軍基地に無線連絡を入れたので、基地のレーダーがUFOを捉えた。また後に調べたところ、近隣の11の町の警官に目撃され、写真まで撮られた。


この2つのケースを見て、皆さんはどう思われただろうか。
テレビなどで再現映像を作るとしたら、CGなどを使ってこれをさらに脚色し(場合によってはグレイまで登場させて)、「これぞ、エイリアン実在の決定的証拠だ!」などと言いながら放送しそうだ。

しかし、実はこの2つの事例ともコロラド大学の調査員によって調べられており、その正体も判明している。

目撃者と一緒にそのUFOを目撃した調査員たちは、その目撃者がUFOだと指差すものが、同じ日の同じ時刻、同じ方角で輝いているハズの金星であることをその場で確認した。金星は、月と太陽を除けば全天で最も明るい星であり、特に
【ケース37】のほうでは、事件当時マイナス4.2等という明るさがあった。

これらの報告を見れば、ヘンドリーの調査結果のトップに「恒星・惑星」があったのも頷けるのではないだろうか。現実にこれだけ見事に見間違いをしてしまうものなのである。


信じる者の錯覚

今度は、心霊ショーで起きた勘違いをご紹介しよう。

1848年、アメリカのハイズビルで起きた事件から「心霊主義」(スピリチュアリズム)というものが始った。心霊主義とは、わかりやすく言えば「人は死後も霊となって人格を維持しながら存在する」という考え方である。

この心霊主義は多くの霊媒師の活躍でブームとなったが、その立役者の中に、兄はアイラ、弟はウィリアムという名のダヴェンポート兄弟がいた。
兄弟は1850年代から1870年代にかけてアメリカやイギリスで大活躍した人気霊媒で、2人が行う心霊ショーはいつも人気だった。

そして1877年、弟のウィリアムが興行先のオーストラリアで亡くなると、兄のアイラは余生を静かに過ごすためにアメリカに帰国。しかし晩年、アイラの元に1人の人物が尋ねてきた。

その人物とはハリー・フーディニ。アメリカの伝説的なマジシャンである。フーディニは、自分の脱出技の師とも言うべきアイラに会うと、マジックや縄抜け、心霊術について語り合った。

すると話の中で、フーディニはアイラから一片の新聞の切り抜きを示される。それはロンドン・ポスト紙のもので、「暗闇の降神術の会」というタイトルで、ダヴェンポート兄弟がロンドンで心霊ショーを行ったときの様子が書かれていた。

ここでは超能力現象のカラクリ(東京堂出版)より、その内容を引用する。

「テーブルの上に、楽器、振鈴などが乗せられた。それから兄弟は、手も足もロープで縛られ、しっかりと椅子にくくりつけられた。次いで室内の明かりが全部消された。
 その途端にいろいろの楽器が、室内を縦横無尽に飛び回っているように思われた。その急速な動きによって引き起こされる風を、すべての出席者が顔に感じた。
 振鈴の鳴る音がひときわ高く響いた。トランペットは床にぶつかって音を立てた。タンバリンは騒々しい音をかき立てながら、室内を走り回っているようであった。スパークが走るのも見えた。楽器が自分にぶつかったと叫んだ人も何人かいた。1人の紳士は、鼻に当たったと見えて、皮膚が破れて少々出血したようでもあった」


これをフーディニが読み終わると、アイラは次のように語ったという。


「暗闇の中では、人々はこんなひどい錯覚に陥るものです。全く不思議な話です。だって楽器は、一度も私の手から離れたことはないのです。それなのに多くの人が、楽器は本当に自分たちの頭の上を飛び回ったと言い張るのですから」


何も知らなければ信じがたい話に思えるが、ここまで視覚編や記憶編、そしてこの超常現象編を読まれた方なら、こういった驚くべき錯覚が現実に起こることをご理解いただけるのではないだろうか。


求めるべきは本物

私も含め、超常現象は存在してほしいと願っている人は多くいると思う。しかし、「存在してほしい」という願望と、「現実に存在する」のかどうかは全く別の話である。そこのところをちゃんと分けて考えないと、嘘やイカサマ、なんでもない現象を、「超常現象」だと勘違いしてしまう原因になってしまう。

残念ながら、人は真実をありのままに見る視覚を備えているわけではない。また、記憶も私たちが思っているほど正確なものではない。
しかしだからこそ、自らの弱点を知り、健全な懐疑精神を持つことは、今後、誤信や勘違いを少しでも減らす手助けとなるだろう。

そしてその結果、ガラクタを減らすことにもなれば喜ばしいことではないだろうか。
なぜなら私たちは、勘違いや、嘘、ペテンにダマされるのを求めているのではなく、「本物」を求めているのだから。