全米No.1サイキック「ローリー・マッコーリー」

伝説

アメリカのオレゴン州ポートランドにローリー・マッコーリーという驚異の超能力者がいる。彼女はこれまでにローラ・ベル失踪事件、アレクシス・バーク失踪事件など、数々の難事件を解決に導いてきた全米No.1サイキックである。

ローリー・マッコーリー

ローリー・マッコーリー
「衝撃リポート!! 世界の怪奇現象大追跡スペシャルⅣ」(日本テレビ、2004年12月25日)より

ローリーは日本のテレビ番組にも何度か出演し、透視によって数々のキーワードを的中させている。(以下、謎解きに続く)

謎解き

ローリーは残念ながら日本での「実績」と呼べるものがない。これは彼女が関わった事件がその後、警察によって解決されていないということが大きい。

超能力捜査の基本は、超能力者が透視をし、その後に警察が自力で事件を解決後に、あの事件は自分のおかげで解決したと主張することである。

ところが、これができるのは事件が結果的に解決した場合のみで、未解決の場合は「キーワードをいくつか当てた」と主張するのがやっとだ。

残念ながらローリーは後者のパターンになる。全米No.1サイキックというには寂しい限りだ。けれども彼女は、キーワードをいくつも的中させているという。

本当だろうか。以下で詳しく検証してみよう。

驚異の透視能力?

ローリーがキーワードを的中させたとしているのは、2004年12月に放送の番組の中で担当した「小林雅尚君・行方不明事件」である。

この事件は2001年10月25日、当時1歳10ヶ月だった雅尚君が、岡山県賀陽町の祖父宅の裏庭からいなくなってしまったというもの。近くにいた祖母が目を離した5分ほどの間に起きた出来事だったという。

番組ではまず、ローリーがオレゴン州ポートランドのオフィスから透視を開始。初めは犯人の顔や犯行動機を透視するが、これがかなり詳しい。しかし、どんなに詳しく語ろうとも犯人が逮捕されなければ検証はできない。

次にローリーは雅尚君の居場所について以下の透視を行う。

何を意味するかわからないが3つの山を感じる。
そう遠くないところに鉄道がある。赤い電車が走っている。
とても特徴的な石垣を感じる。
小さな公園がある。そこには中国風の建物があり、橋が架かっている。
雅尚君がいる家は平屋でL字型をしている。家の敷地内にはV字型の木がある。
T字型の街灯
タンク
鉄塔
三日月形のシンボル
造船所
透視をイメージ化すると町の西側に山があり、その山の近くに折れ曲がって交差した道がある。その道を北に向かうと石垣がある。その先にL字型の家があり、現在はそこに住んでいる。

以上が番組内で最初に放送された内容である。実はあとでわかるように、本当はもっと多くの透視を行っている。番組の演出上、残りのものは小出しにされるのだ。

日本での捜索は、「3つの山」「赤い電車」を手がかりに進められた。専門家などに聞いた結果、福岡県飯塚市や田川市などが候補として浮かび上がり、早速捜索を開始。その際、「電力に関係のある鉄塔」「柵に囲まれた貯水タンク」という、どこの町にもあるようなキーワードが追加される。

しかし、いくつかのキーワードと一致するものの、肝心のL字型の平屋が発見できず次のターゲットへ。

ここでは再びローリーが透視。次のキーワードがさらに追加される。「とても目立ち、みんなが見上げるほど高いところにある木枠に囲まれた鐘」「Sという文字が見える。SHOという音が入っているか、SHO(ショウ)から始まる」

ターゲットとして浮かび上がったのは広島県庄原市。ここでは「中国風の建物がある公園」、「タンク」、「鉄塔」、「三日月形のシンボル」を発見。さらに「馬が1、2頭」「屋根と四つの柱があり、壁のない家畜の餌を与えるような建物」という透視も加えられ、2つとも探し出す。しかし「石垣」「3つの山」が見つからず、あえなく断念。

最後に向かったのは岡山県玉野市。ここで「海岸のある町。(事件のあった町から)そんなに遠くない」と、地図を指差すローリーの映像が流れる。玉野市では、結果として以下のものが見つかることになる。

造船所
数字の30、もしくは3、0に関係あるもの
曲がりくねって立体的に交差した道
石が積み重なったもの
公園の中にある建物と橋
3つの山
石垣
L字型の平屋とV字型の木

あれ? 最初に専門家にまで聞いて全国を探した赤い電車は、いつのまにか無かったことになっている。

さらに公園の中の建物は「中国風」だと言っていたのにもかかわらず、実際に見つけたのはどこにでもあるような普通の休憩所。おまけに捜索の途中、リポーターの持っていた紙が3秒ほど映ったので映像を停止して見ると、以下のものが確認できた。

……スス……
珍しくて高級……
祭り(真夏に行わ……
引っ張ると伸びるアメ……
野菜、コーン、キノコ、ぶどう
S.H.O.というイニシャル
O.C.H.I.というアルファベット
2.8.0.という番号(今の家の近く……
280という数字(高速道路の番号か通り……
250という数字(祖父母の家から高速……
30 もしくは、3.0.
三日月形のシンボル
……クフィギュア……
……太陽の……
A.G.という字

なんと、番組で紹介されなかったキーワードがたくさんあるではないか。

この中で玉野市の時に当たったとされたのは「30、もしくは3.0」だけ。後は途中で小出しにされた一部を除いて番組では一度も触れられることがなかった。しかも画面に映らなかった部分にもキーワードは書いてあり、紙は少なくとも他にもう1枚あった。

これだけたくさん曖昧なキーワードを言えば中には当たるものもあるはずだ。しかも、ただでさえ曖昧なキーワードを好き勝手に削り、当たりをこじつけ、さらに外れは無視していいのなら、だれでもローリーと同じ「驚異の透視能力」を真似することができるはずである。

この事件に関しては、アメリカの超能力者ジョー・マクモニーグルと、エド・デームズアーロン・ドナフュー、そしてロシアの超能力者ルイック・ライサも、雅尚ちゃんの居場所を透視しているので紹介しておきたい。

まずジョー・マクモニーグルは、2004年1月17日放送の『FBI超能力捜査官5』(日本テレビ)にて、雅尚ちゃんは岡山県倉敷市にいると透視。

次に2003年4月14日放送の『TVのチカラ』では、ルイック・ライサが自宅から北西に200キロ離れた場所として島根県松江市&穴道町付近にいると透視。そして最後にエド・デームズとアーロン・ダナフューのリモートビューアー(遠隔透視能力者)コンビは、自宅(岡山県旧賀陽町)からそれほど遠くない場所にいると透視。

これらの透視結果にローリーの岡山県玉野市という透視結果を加えて見比べてみるとみんなバラバラなのが興味深い。なお、これらの透視場所を探しても手がかりになるものは何も見つかっていない。

この後の展開は、事件現場の様子や車のナビゲーションなど、事前に調べればわかることはやたら詳しく、肝心なところになると曖昧で役に立たなくなるという、お約束のパターンが繰り返されただけだった。(事件の解決はおろか、進展するようなことも一切なし)

結局、ローリー・マッコーリーの「驚異の透視能力」の正体とは、曖昧な情報を数多く提示しておき、あとで当たりをこじつけるものだと言える。

このページの最後は、そんなやり方をよく表した、コロンバス警察のカーティス・マックラング署長の言葉を紹介して終わりとしたい。彼は有名な超能力者ドロシー・アリソンについて語っているが、その中身はローリー・マッコーリーにもそっくり当てはまる話である。

彼女はありとあらゆる意見、断片的な情報やまちまちの描写を語ってくれたんだ。とにかくたくさんしゃべってくれたよ。あれだけたくさん話せば、どれか1つくらい当たるというものだ。

『ハインズ博士「超科学」をきる』より

【参考資料】

  • 「衝撃リポート!! 世界の怪奇現象大追跡スペシャルⅣ」(日本テレビ、2004年12月25日)
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