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FBIに所属する?「超能力捜査官」の実態とは

伝説

海外には、その驚異の力によって未解決事件を解決へと導く超能力者たちがいる。彼らの通称は「サイキック・インベスティゲーター」(Psychic Investigator)―超能力捜査官。

ジョー・マクモニーグルの本

日本テレビの「FBI超能力捜査官」シリーズでお馴染みだったジョー・マクモニーグル。 2004年に出たこの翻訳本の原書のタイトルは「The Stargate Chronicles」(ザ・スターゲイト・クロニクルズ)。

日本の閉鎖的な警察とは違い、海外の警察では積極的に彼らに協力を依頼し、難事件を次々に解決している。その解決率は驚異の80パーセント!

超能力への理解が進んでいる欧米では、超能力者を捜査に使うことは、もはや「常識」なのである。

謎解き

テレビの特番でもシリーズ化され、話題となっていた超能力捜査官。【伝説】のとおりであれば、日本の警察はなんと遅れていることか……と嘆かずにはいられない。

ところが、よくよく海外の事例を調べてみると、どうもテレビなどで宣伝されていることとは話が違うこともわかってくる。

たとえば、海外の警察には「超能力捜査官」などという役職はない。アメリカでも「FBI超能力捜査官」という役職はない。こういった肩書きは日本のバラエティ番組が勝手に付けているだけで、テレビに出演していた超能力者たちは、こういった肩書きを自国では名乗っていないのである。

それはそうだ。公式に存在していない架空の役職を自国で勝手に名乗れば、すぐにバレてしまう。日本の場合は言葉も違う異国のバラエティ番組だったからこそ、架空の役職を創作して演出することができたのだと思われる。

世界的に有名だった超能力者のピーター・フルコスは、1964年にFBIの捜査官を名乗ったとして逮捕されたことがある。このときは結果的に、「自分はFBIだと名乗ったのではなく、FBI以上の者だと言ったのだ」という主張がとおり、無罪になった。

こうした実態と離れた話は他にもある。以下で詳しく見てみよう。

アメリカでのアンケート結果

超能力捜査の実態については、ジェーン・A・スウェットとアラバマ州立アセンズ大学のマーク・W・デュラム教授が行った調査が参考になる。

デュラム教授は、アメリカで人口の多い上位50都市を選び、各都市の警察署に宛てて超能力捜査に関するアンケート調査を実施。その結果、首都ワシントンとフィラデルフィアを除く48都市から回答を得た。

質問と回答は次のとおりである。

※スマホなどで閲覧の場合、以降の表は画面を横にすると、あまりはみ出さず読みやすい。

質問1 「あなたの警察署において、今まで犯罪捜査で超能力者を使用したことがあるか、または今現在、使っていますか?」
回答 はい = 17署    いいえ = 31署
質問2 「どんな種類の犯罪捜査に使いましたか?」
回答 殺人事件 = 15署 行方不明 = 10署 誘拐、強盗、暗殺 = 各1署
質問3 「通常のルートから得られる情報と、超能力者から得られる情報とを区別していますか?」
回答 はい = 7署   いいえ = 33署   未回答 = 8署
質問4(a) 「もしあなたの警察署が超能力者を使用したなら、寄せられた情報は他の情報源よりも事件の解決に役にたちましたか?」
回答 はい = 0署   いいえ = 26署   未回答 = 20署
質問4(b) 「それはどういう情報で、どのように使用されましたか?」
回答 いいえと答えた26署のうち17署がコメントを寄せた。
質問5 「超能力者からの情報は、他の通常ルートから寄せられる情報よりも有用だと個人的に思いますか?」
回答  はい = 0   いいえ = 39   未回答 = 7
他に「時々」と「超能力者が誰かによる」という答えが各一つ。

さて質問1の回答でわかったのは、大規模都市にある警察で超能力者を使ったことがあるのは、約35パーセントしかないということだった。

またデュラム教授らが、同じ調査を中規模の都市にある警察に対して行った結果では、超能力者を使ったことがあるのは30パーセント以下。小規模の都市にある警察では20パーセント以下だった。

このほか質問4(a)と質問5の回答では、Yesと答えたのはゼロだった。つまり【伝説】とは大きく異なり、実際は超能力者は事件解決の役に立っていないようである。

続いて紹介するのは、1993年に270人の警察官に対して行われた無記名アンケートの結果である。

質問1 「個人的に警察の捜査に超能力者を使いますか?」
回答 はい =35.75% いいえ =62.75% もしかしたら =1.5%
質問2 「現在あなたの組織は捜査で超能力者を使っていますか?」
回答 はい = 5.5%  いいえ = 69.5%  知らない = 25%
質問3 「過去に、あなたの組織は捜査で超能力者を使ったことがありますか?」
回答 はい = 23%  いいえ = 40.5%  知らない = 36.5%
質問4 「あなたの組織は何回超能力者を使いましたか?(確証がないのなら見積りで)」
回答 1回=30人 2回=18人 3回=8人 4回=3人 5回=4人
質問5 「超能力者を使った事件のタイプは?」
回答 殺人=52% 行方不明=40.5% 誘拐=2.5% その他=5%
質問6 「超能力者は、どのようにして捜査に関係しましたか?」
回答 警官の依頼 = 41%  家族の依頼 = 20%  自己志願 = 34% 知らない = 5%
質問7 事件を解決することにおいて、有効な情報が超能力者から与えられましたか?
回答 はい = 13.5%  いいえ = 50%  たぶん = 36.5%
質問8 事件は超能力者の助力なしでも解決されたでしょうか?
回答 はい = 51%  いいえ = 0%  わからない = 49%

こちらの場合、 質問7の「有効な情報が与えられたか」という質問に対する回答では、「はい」と答えた警察官は9人(13%)いた。当たったと思える情報の内容は、「遺体が見つかった場所」や、「車のナンバー」などだという。

普通に考えれば事件解決のための有力な情報のように思える。しかし続く質問8の「超能力者の助力なしでも解決されたか」という質問では、「いいえ」と答えたのは1人もいなかった。「わからない」という回答は49%あるものの、本当に事件解決の決定的な証拠があれば、こんな曖昧な回答はしないはずである。

ではなぜ、重要な証拠に思える「遺体が見つかった場所」や、「車のナンバー」などが事件解決の決定的証拠にならなかったのか?

それは超能力者の透視内容が非常に曖昧だからだ。たとえば、「遺体が見つかった場所」としてよくあげられるものには、「水の近く」というキーワードがある。

この曖昧な「水」に関係したものとしては、海、川、湖、池、ダム、井戸、貯水タンクなど、関連づけられるものはたくさんある。

また車のナンバーにしても、全ての番号を当てた超能力者はいない。当たっているとされているのは、「数字の5が見えます」というような非常に曖昧なものしかない。もちろん「車のナンバー」以外にも無数のものに後からこじつけ可能である。

こういった解釈の余地を広げるために、どのようにも取れる曖昧さを備えた表現上の特徴は、「マルティプル・アウト」と呼ばれる。そして超能力者が言うような「曖昧な手がかり」を、後から判明した事実に合わせて「当たっていた」と思わせるテクニックは「レトロフィッティング」と呼ばれる。

アメリカの超能力者のドロシー・アリソンなどは、これらのテクニックを非常に上手く使っていた。彼女は、アトランタで起きた連続幼児殺人事件の犯人を解決したのは自分だと主張していたが、アトランタ警視庁のガンドラック警部補によれば、アリソンは事件の容疑者の名前として全部で42の異なる名前を挙げていたという。

ドロシー・アリソンは、全米で最も有名な超能力探偵。1999年12月1日に74歳で亡くなった。もし存命であれば、日本のテレビで「全米No.1」として紹介されたであろう人物。5000件の事件を解決したと豪語していたが、その実態は「マルティ プル・アウト」に「レトロフィッティング」、そして「ホット・リーディング」を駆使したものだったとされている。

こういったテクニックについて、超常現象調査の専門家であるジョー・ニッケルは次のように語っている。

例えれば、矢が射られた後に矢の周りに標的の円を描いているようなものだ。

イギリスでの実態とアメリカの警察のコメント

超能力捜査が最も盛んだというアメリカでの実態については上で書いたとおり。しかし他の国ではどうだろうか。

続いて紹介するのは、イギリスでの超能力捜査の実態だ。

ロンドン警視庁のエドワード・エリドンによれば、ロンドン警視庁は超能力者を使っておらず、他の警察署でも超能力者に協力を求めることはないという。またイギリスにも超能力捜査官などという役職はなく、これまでに超能力者の協力によって事件が解決したこともなければ、有力な証拠を提供したこともないという。

どうやらアメリカよりイギリスの警察の方が厳しい考え方のようだ。しかしアメリカの警察にも同じような考え方の警察官はいる。たとえばロサンゼルス警察のダン・クックは超能力捜査に関して次のようにコメントしている。

ロサンゼルス警察では超能力者は使用しませんが、もし彼らが電話で無料の情報を提供するなら、礼儀正しく聞くつもりです。しかし、私たちは提供された情報を真剣に受け止めません。(真に受けるだけ)時間の無駄だからです。

シカゴ警察では、役に立たない超能力者をなぜ使うのか? という疑問に対して次のようにコメントしている。

(超能力者を)「使う」という表現は正しくありません。行方不明者の家族などから依頼を受けたという超能力者が我々に接触してきた場合に、我々は、その意見を「拝聴する」に過ぎません。通常の捜査が行き詰まった際には、我々はいかなる可能性についてもオープンに接し、丁重に扱います。しかし(超能力者の)意見に従って捜査をしても、その成功率はゼロということなのです。

FBI特別捜査官のクリス・ホイットコムも、行方不明者の捜索に超能力者が役に立ったことがあるか、という質問に対し、次のように答えている。

ゼロだ。彼らがテレビに出るのを見て、私は事態がどう動き、彼らが何を言うのかを見守る。でもダメだ。ゼロだ。彼らも他のことでは注目に値するのかもしれないが、FBIは彼らを使わない。

これには「全米行方不明・被搾取児童センター」も同意見で、彼らの知る限り、超能力者が実際に役に立ったことは一度もないという。

実験結果が示すもの

さて、最後はロサンゼルス警察の行動科学課が、超能力でどの程度犯罪内容を見抜くことができるかを調べるために、コントロール実験を行ったことがあるので紹介しておきたい。

実験は、実際に犯罪に関係している髪の毛やキーホルダーなどの遺留品を超能力者へ渡し、その遺留品から犯罪の内容を読みとってもらう、という方法で行われた。

実験に参加したのはプロの超能力探偵8人とアマチュアの超能力者4人の計12人。
4件の犯罪事件(そのうち2件は解決済みで2件は未解決)の遺留品を超能力者に見せ、そこから事件に関係した21の項目について当ててもらうという実験だった。

4つの事件とも、最もよく当たったのは被害者や加害者の性別だった。しかし、性別が当たる確率は2分の1。それでも性別が当てられたのは最高でも9人どまりで、中には1人しか当てられなかったケースもあった。

9人が性別を当てたケースで被害者の持ち物として見せられたのは、女性の赤い財布だった。

結局、性別以外では誰も良い成績をあげられず、偶然の一致以上の成績をあげた者は1人も出ていない。

この実験は追試も行われている。追試実験では、11人の大学生と12人の捜査員を対照群として、超能力者(12人)がこの対照群を越えられるかどうかが試された。今回の実験でも、4件の犯罪事件(そのうち2件は解決済みで2件は未解決)が選ばれ、それぞれのグループから得られた情報を全部で20のカテゴリーに分けて統計処理された。

超能力者のグループと他のグループの違いで目立ったのは、超能力者のグループが遺留品について語る分量は他の2グループに比べて非常に多いということだった。文章量にすると10倍も違い、語る話の内容もドラマチックに脚色されていた。

しかし情報量が10倍もある分だけよく当たったかというと、そんなことはなかった。被害者に関する情報で一番よく当てたのは大学生のグループ。4つの事件を合わせて全部で27項目が的中。超能力者のグループは26項目、捜査官のグループは18項目だった。

一方、容疑者に関する情報で一番よく当たっていたのも大学生だった。全部で12項目が的中。捜査官のグループは9項目。超能力者のグループは8項目。

結果的に容疑者の氏名や住所など、犯罪捜査にとって重要な情報を当てられた者は誰もおらず、どの的中率も偶然による期待値をこえるものはなかった。

どうやら実際にはテレビの中で語られる見事な活躍談とは裏腹に、なかなかうまくはいかないようである。

【参考資料】

  • Jane Ayers Sweat, Mark W. Durm「Psychics: Do Police Departments Really Use Them?」『Skeptical Inquirer』 (Vol.17, No.2 Winter 1993)
  • The REALL News「The official newsletter of the Rational Examination Association of Lincoln Land」Volume 2, Number 4 April 1994(http://www.reall.org/newsletter/v02/n04/index.html)
  • Joe Nickell「How Psychic Sleuths Waste Police Resources」『Skeptical Inquirer』(Vol.30, No.2 March/April 2006)
  • Joe Nickell「Police Psychics: Do They Really Solve Crimes?」April 29, 2004(http://www.csicop.org/specialarticles/show/police_psychics_do_they_really_solve_crimes)
  • 皆神龍太郎、志水一夫、加門正一『新・トンデモ超常現象60の真相』(楽工社)
  • ロン・マクレー『マインド・ウォー』 (徳間書店)
  • テレンス・ハインズ『ハインズ博士「超科学」をきる』 (化学同人)
  • コリン・ウィルソン『サイキック』 (三笠書房)
  • ロバート・T・キャロル『懐疑論者の事典・下』(楽工社)
  • 山本弘『超能力番組を10倍楽しむ本』 (楽工社)
  • 「FBI超能力捜査官の史上最強千里眼マクモニーグル奇跡の挑戦」(日本テレビ、2004年10月2日放送)
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