FBIアカデミー講師「ノリーン・レニア」

伝説

アメリカ・ヴァージニア州シャーロッツビルには、FBIアカデミー講師を務める超能力者がいる。彼女の名はノリーン・レニアこれまでに38の州と6つの国で400件以上の未解決事件に取り組んできた凄腕の超能力者である。

ノリーン・レニア

ノリーン・レニア

ノリーンは日本でも何度か透視を行っているが、その中でも見事な結果を残しているのは、現代の神隠しとも呼ばれた「広島一家失踪事件」だ。

この事件を担当した彼女は、失踪した一家の乗った車が水の中に落ちたことを透視。それから半年後の2002年9月7日には、透視どおり、ダム湖から一家の遺体を乗せた車が発見された。透視は見事に的中したのである。


Photo by Erik Ortiz「Psychics on hot seat after false claim that Cleveland kidnapping victim was dead」『NY Daily News』May 8, 2013
(http://www.nydailynews.com/news/crime/psychics-scrutinized-false-claim-cleveland-case-article-1.1338326)

謎解き

ノリーン・レニアは、日本では「世界の怪奇現象・大追跡スペシャル」シリーズによく出演していた超能力者である。登場の際には、【伝説】にもあるとおり、「広島一家失踪事件」が的中例としてあげられることが多い。

しかしこれは裏を返すと、その事件以外ではまともな結果を残していない、ということを意味しているとも考えられる。いや、それ以前に、そもそも本当にこの事件の透視は的中したのだろうか?

実は調べてみると、全然的中などしていなかったことがわかるのである。

「車は水の中に落ちている」と本当に発言したのか

ノリーンが広島一家失踪事件を担当したのは、2002年4月4日に放送された「世界の怪奇現象 大追跡スペシャル」である。この番組では例によって複数のキーワードを挙げ、現場の捜索を担当する坂上忍に指示を出していた。

しかし放送された内容を全部チェックスしてみても、その中に【伝説】で言われるような「車は水の中に落ちている」などという発言はない。これは遺体発見後のシリーズ第2弾以降から突然出てきた発言である。

しかもその第2弾以降の発言では、日本語の吹き替えが「車は水の中に落ちている」と言っているため、普通に聞いているとそのように発言しているかのようにミスリードされてしまう。

ところが実際にノリーン本人が言っている内容を注意して聞いてみると、少し聞き取りづらいものの、何かがスピンして引っ掛かったと発言しているように聞こえる。どう頑張っても車が水の中に落ちているとは聞こえない。

そもそも彼女が透視でそのような結果を出していたのであれば、最初の放送で紹介していたはずだ。何しろそれは「結果」であり、一家を乗せた車がそのとき存在する場所を示しているからである。

最終透視結果と遺体発見現場

さて、そんな怪しい吹き替えがあることを踏まえつつ、彼女の最初の透視に戻ろう。透視による案内の結果、番組で最終的にたどり着いたのは広島県東広島市の竹林寺という寺近くの「篁山」(たかむらやま) である。ノリーンによれば、失踪した一家の遺体はその篁山の「すごく近く」にあるという。

しかし残念ながら、番組で付近を捜索しても手がかりはつかめなかった。

一家はどこにいたのだろうか? 実は一家の遺体を乗せた車は、広島県世羅町にある「京丸ダム」という場所に沈んでいた。位置関係を図で示そう。(一家の自宅は遺体発見現場から北へ6キロほどいったところにある)

実際の位置関係

実際の位置関係

左下の画像は実際に番組で出されたもの。「現在地」と書かれてある場所から最終透視結果の篁山へ向かう時に表示されたものだ。「湖」とあるのは東広島市にある「白竜湖」のこと。京丸ダムとは関係がない。

実際の京丸ダムは番組放送画面からハミ出す位置(画像の赤い×印)にあり、最終的にたどり着いた篁山からは、直線距離で20㎞も離れている。

これのどこが「すごく近く」なのだろうか。どう考えても的中していないことは明らかである。ノリーンの透視はまったく見当外れだったのだ。

FBIのアカデミー講師だった?

以上のように、ノリーンの実績とされていたものは見当外れのものだった。それでは【伝説】にあった「FBIアカデミー講師」という肩書きについてはどうだろうか。これは彼女が宣伝パンフレット内などで肩書きとして使用していたものだという。

実はこの件はアメリカで別件の裁判中に、元FBI特別捜査官だったロバート・レスラーが、「真実ではない」と証人として証言している。

その結果、宣伝パンフレットからは強制的に削除され、今日では使用できない肩書きとなっている。残念ながら日本での実績だけでなく、アメリカでの肩書きもデタラメだったようである。

【参考資料】

  • 「世界の怪奇現象 大追跡スペシャル」(2002年4月4日放送)
  • 「世界の怪奇現象 大追跡スペシャル6」(2008年12月4日放送)
  • Tampa Bay Skeptics「Skeptical Articles on Noreen Renier」(http://www.gpposner.com/Renier_list.html)
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