東日本大震災を予言した予言者「松原照子氏」

伝説

2011年3月11日に東日本を襲った大地震。この未曾有の大地震を1ヶ月ほど前に予知し、警告を発していた人物がいる。人気ブログ「幸福への近道」で自らの予言を発表している松原照子氏だ。

松原氏は幼い頃より、彼女が「不思議な世界の方々」(神様や守護霊のようなもの)と呼ぶ存在から、未来の話を聞ける特別な能力を持っていたという。これまでにもその能力によって様々な災害を予言し、警告してきた。

なかでも特に注目すべきなのが、2011年2月16日に行われた次の予言である。

やはり太平洋側は動く気配がムンムンしています。 『陸前高田』と云う地名が声にならない会話を 自分にしています。 どこにあるのだろうと 探してみると 見付かった。 指で感じ取ろうとしたが 期待ほど感じなかったが 釜石辺りが赤く見えた。 東和と書かれている場所辺りが気になった。 今度揺れると広範囲に思える。

岩手・秋田・山形・宮城・福島・茨城 これだけ書けば当たるだろうと思える県名だが 書かずにはおれない思いになります。 目の前に5の数字が先程から見えて仕方がない。 千葉も 神奈川も近く揺れると思われるし 東京・埼玉も『なんだこれ』私がおかしいのか群馬も 栃木も 長野も いつ揺れてもおかしくない事を地図は語ってくれているだけに 私自身 今日は地図を見る力が薄れているのかと心配になってしまうくらいだ。 もしかすると近日中に何回か揺れを感じるか かなり広範囲なのかもしれないと思った。

もっと他も見ないといけないのだろうが これ程の県名を書いた後だけに見る気がなくなったが 心の中で『揺れる・揺れる』と言っている自分がいた。 又 改めて見てみますが 気を付けて下さい。 大きな揺れを感じる私が ここにいます。(「幸福への近道」2011年2月16日の記事:http://shohweb.com/archives/936.html より引用)

ご覧のように、東日本大震災で大きな揺れを記録した地名がほとんど網羅されている。さらに甚大な被害に遭った「陸前高田」「釜石」といった具体的な地名まであげられている。

これほど詳細な地名まで予言できたとは驚きだ。しかも彼女の予言はこれだけではない。地震以外の災害、事故、著名人に関する予言まで、幅広く当て続けている。今や国内ナンバー1の呼び声も高い、日本屈指の予言者なのである。

謎解き

松原氏は、東日本大震災を予言していたとして、震災直後から一躍有名になった人物である。現在では会員向けの個人相談や講演会なども以前より規模を広げて開催しており、大いに活躍されている。

確かに彼女の東日本大震災の予言は大変注目に値するものだ。これを見れば、現在の活躍もうなずける。しかしそんな中、私は震災直後から、彼女の予言に注目し、これまでずっと追ってきた。本当にすごい予言をしていたのか、そしてできるのか、ということを知りたかったからだ。

その結果、リアルタイムで集めた予言のデータは約5年分におよび、さらに震災以前の旧資料にも目を通して松原氏の予言を精査できた。本稿ではその検証結果をまとめ、以下で示していきたい。

東日本大震災の予言の検証

まずは東日本大震災の予言をみていこう。この予言については【伝説】で示したとおり。
ネット上ではこの予言について、震災後に書かれた事後予言であるという指摘もあるが、調査したところ、事後予言であることを示す確かな証拠は見当たらなかった。

記事を震災後に更新した記録があるとも言われるが、更新情報は、記事のカテゴリーを変更しただけでも記録されてしまう。そのため、その程度の記録では証拠にならない。また震災前に松原氏のブログ記事を転載しているブログも存在する。

よってここでは、予言は事前になされたもの、という判断で進めていきたい。予言された内容が震災前に書かれたとするならば、問題はその内容に移る。地震の予言で注目すべきポイントは、地震の「規模」「起きる場所」「時期」の三つである。

振り返って2011年2月16日の予言を確認してみると、「規模」については「大きな揺れを感じる」とある。「起きる場所」は「陸前高田」「釜石」をはじめ、東北や関東の各地の地名、「時期」は「近日中」とあり、総じてほぼ的中していると判断できる。

では、松原氏は「東日本大震災を予言していた」と判断していいのだろうか?
いや、実はそう判断するにはまだ早い。的中した予言を見ているだけはわからないこともあるからだ。予言を検証する上では、日頃からどういった予言がなされているのか、ということも重要なポイントになる。

そこで松原氏が震災以前に発表していた地震の予言を精査してみた。その結果をまとめたものが以下の表である。予言であげられていた地名の一覧だ。(2011年2月16日の予言は除く。2005年~2011年2月15日までの予言)

※スマホなどで閲覧の場合、以降の表は画面を横にすると、あまりはみ出さず読みやすい。

北海道 札幌、函館、室蘭、根室、釧路、十勝、苫小牧、襟裳岬、尻羽岬、宗谷岬、納沙布岬、石狩、日高、北見、留萌、足寄、初山別、伊達、夕張、帯広、足定、洞爺湖、昭和新山、野村水道、知床半島、千島列島
青森県 八戸、八甲田山、大戸瀬崎
秋田県 横手、本荘、真昼山地、出羽山地、男鹿半島
岩手県 花巻、陸前高田、久慈、釜石
宮城県 白石、石巻、気仙沼、阿武隈川、南三陸金華山国定公園、仙台湾
山形県 天童、酒田、新庄、最上川
福島県 塩屋崎、会津若松、いわき、郡山、白河、喜多方、会津本郷、猪苗代湖、安達太良山
茨城県 水戸、日立、取手、筑波、石岡、稲敷、常陸大宮、下妻、霞ヶ浦、鹿島灘
栃木県 宇都宮、足尾山地
群馬県 前橋、藤岡、伊香保
千葉県 成田、木更津、館山、銚子、千葉、茂原、船橋、浦安、勝浦、松戸、八日市場、九十九里浜、野島崎、犬吠埼
埼玉県 行田、深谷、熊谷、朝霞、浦和、狭山、川越、秩父
東京都 23区、八王子、多摩、立川、青梅、町田、東京湾、大島、新島、三宅島、神津島、小笠原諸島
神奈川県 川崎、横浜、相模原、横須賀、丹沢山、茅ヶ崎沖、三浦半島
新潟県 六日町
富山県 県名のみ
石川県 県名のみ
福井県 東尋坊
山梨県 甲府
長野県 松本
静岡県 伊豆、浜松、戸田、沼津、天城、伊豆長岡、伊豆諸島
愛知県 豊橋、岡崎平野、知多半島、渥美半島
岐阜県 飛騨高山、下呂、美濃、本巣
滋賀県 琵琶湖、比良山地、比叡山、大津、志賀
三重県 尾鷲、志摩、松阪、名張、鈴鹿、伊勢湾、布引山地、熊野灘
和歌山県 田辺、新宮、橋本、串本、湯浅、那智勝浦
京都府 山城
奈良県 天理、大台ヶ原
大阪府 阪南、岸和田、泉佐野、生駒山
兵庫県 三田、西脇、三木、淡路、丹波、篠山
岡山県 県名のみ
鳥取県 県名のみ
島根県 出雲、島根沖、焼火山
広島県 西能美島、江田島、似島、厳島
山口県 岩国、長門、下関、萩、木屋川
香川県 高松、小豆島
徳島県 美馬、日和佐、四国沖
愛媛県 松山、戸島、日振島、御五神島、佐田岬半島
高知県 南国、四国沖
福岡県 北九州、筑紫山地、玄海国定公園、志賀島、能古島、糸島半島
長崎県 雲仙天草国立公園、西彼杵半島、伊王島、五島列島
佐賀県 筑紫山地
熊本県 筑肥山地
大分県 別府、臼杵、伊予灘
宮崎県 日向、えびの
鹿児島県 大隅半島、薩南諸島、奄美大島、種子島
沖縄県 与那国島、宮古島

これを見ると、47都道府県すべてが網羅されていることがわかる。しかも、これらの中には一回だけでなく、何度もあげられる地名もある。たとえば東北地方の場合は、確認できる限り、初出は2005年、それからの6年間で120回以上も登場する。関東地方も初出は2005年で、登場数は実に170回を超える。

単独で挙げられることはほとんどなく、たいてい様々な地名とセットで言及される。

東日本大震災の予言で話題になった「陸前高田」や「釜石」も、実は2005年の時点ですでに登場していた。そのときは的中しなかったため、話題になることなくひっそりと忘れ去られてしまったものの、2011年の再登場によって結果的に注目を浴びたかたちだ。

このように松原氏は日頃から地震に関する予言を発表し、日本全国で地震が起きるとしていた。これを何年も繰り返しているのだから、いつか東日本大震災のような大地震が起きれば、的中するのはむしろ当然といえるのではないだろうか。

つまり「下手な鉄砲も数撃てばいつかは当たる」ということである。松原氏の予言の特徴は、その数の多さにあると思われる。

その他の特徴

ただし松原氏の予言を精査していると、他にも特徴があることに気づく。それは「曖昧さ」「対象の起こりやすさ」である。次の予言をご覧いただきたい。

踏切には十分気を付けて下さい。と申し上げたいのです。
何故か『踏切』が頭から離れません。(中略)
脱線事故は嫌だけど書かなくてはと思ってしまいました。
(「幸福への近道」2013年1月8日より)

これは踏切での脱線事故を予言しているように読める。しかし、その事故は「いつ」起きるのだろうか。また「どこで」起きるのだろうか。残念ながら松原氏はその重要な2点を予言していない。つまり「曖昧」なのである。

そのため、この予言は踏切事故が起こった時点で的中ということになってしまう。ところが、運輸安全委員会が行っている全国の鉄道事故調査報告書を調べてみると、踏切での脱線事故というのは毎年数件のペースで起きていることがわかる。これでは予言が的中しても驚くにはあたらない。

このように曖昧で起こりやすい、または起こってもおかしくない予言は他にもある。著名人に関する予言もそのひとつで、大抵は以前から度々話題に上がっている話である。(例:本田の移籍、みのもんたの朝ズバッ!の打ち切りなど)

曖昧であれば解釈の幅は広がり、対象が起こりやすければ的中率も上がる。これに数の多さも加われば、ほとんど無敵である。

外れた予言がたくさん出てしまっても大丈夫だ。人は外れた予言など覚えていない。当たったとされる予言は多く取り上げられ、人々の記憶に残る。こうしてよく当たる予言者像はかたち作られていく。

予言は続く

さて最後は、2011年の東日本大震災以降から2015年12月31日までに行われた松原氏の地震予言をまとめて見ておきたい。震災後は以前に比べると地震に関する予言のペースがだいぶ落ちてはいるものの、下手な鉄砲を撃ち続けるその姿勢は変わらないようだ。

北海道 釧路、十勝、根室、千島列島、浦賀町、阿寒国立公園
青森県 青森、十和田湖、八甲田山、三陸沖
秋田県 十和田湖
岩手県 海岸付近、三陸沖
宮城県 仙台、宮城県沖、気仙沼、三陸沖
山形県 酒田
福島県 楢葉町、いわき、駒ヶ岳、熱塩、朝日山、浜通り、磐城沖ガス田、相馬
茨城県 水戸、下妻、鹿島、日立、常陸太田、常陸大宮、大津、北茨城
栃木県 前原
群馬県 三国山
千葉県 蘇我、房総半島、御宿町、館山湾、銚子、犬吠埼、鴨川、南房総国定公園、勝浦、一宮
埼玉県 大宮、所沢、春日部、岩槻
東京都 23区、八王子、昭島、州崎、東京湾北部、大島、伊豆諸島
神奈川県 横須賀、相模湾、沖の山、神縄
新潟県 柏崎、佐渡島、新発田、糸魚川
富山県
石川県
福井県 県名のみ
山梨県 山梨市、八ヶ岳、間ノ岳
長野県 長野市、長門、八ヶ岳
静岡県 御殿場、下田、富士、石廊崎、伊豆半島、遠州灘、駿河湾、三保の松原、登呂遺跡、越前岳、黄瀬川、狩野川、富士川、御前崎、清水、大室山、遠笠山、愛鷹山
愛知県 渥美半島、名古屋沖
岐阜県 岐阜市、海津市
滋賀県 琵琶湖、賤ヶ岳、余呉湖、竹生島
三重県
和歌山県 県名のみ
京都府 京都市、京都南東部、巨椋池
奈良県 県名のみ
大阪府 大阪市、大阪沖、上町断層
兵庫県 播磨灘、淡路島、鳴門海峡
岡山県
鳥取県 県名のみ
島根県
広島県 安芸灘
山口県
香川県
徳島県 県名のみ
愛媛県 伊予灘、豊後水道
高知県
福岡県
長崎県 雲仙
佐賀県 筑紫山地
熊本県 天草灘、熊本市(※2013年にあげたのみ。以降2016年4月現在まで無し)
大分県 日向灘、豊後水道
宮崎県
鹿児島県 大隅海峡
沖縄県

これ以外に、もっと広範囲を示す「関西」「四国」「南海トラフ」「紀伊半島」「能登半島」「日本海」といったキーワードもあげられている。つまり、上記を合わせるとほぼ全国ということである。いずれまた全部揃う日も近そうだ。

もちろん関東を筆頭に、相変わらず何度もあげられている地名もある。

ちなみに、これとは別に富士山の噴火に関する予言も2005年から年に数回、毎年行われており、その数はすでに30回を超えている。幸い、こうした災害予言はなかなか当たらないものの、可能性は十分考えられるものである。起きるまで予言し続ければ、いつかまた的中する日はくるかもしれない。

【参考資料】

  • 「幸福への近道」(http://terukomatsubara.jp/)
  • 「近未来研究所」(http://yoken.kinmiraiken.jp/wordpress/)
    ※「幸福への近道」の旧サイト
  • 運輸安全委員会(http://www.mlit.go.jp/jtsb/index.html)
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