超常現象の謎解き

今も現れ続ける怪現象「ポールディングの怪光」

伝説

アメリカのミシガン州ポールディング。ここにある森では、毎晩のように奇妙な光が目撃されている。

ポールディングの怪光

やや左奥に見える怪光。特殊なカメラによって光は強調されている。

最初の目撃は1966年。地元の10代の少年たちがポールディングの森で車をとめていると、何やら光り輝く奇妙なものを発見。その様子を地元の保安官に報告したのが始まりとされる。

以降、40年以上にわたり怪光は現れ続け、これまでに数千人もの人々が目撃。その様子は数多くのビデオや写真に収められている。目撃者の多さや、写真類などの物的証拠の存在も合わせて考えれば、これらが捏造や勘違いなどということはあり得ない。怪光は確かに実在する。

ではその正体は何だろうか。アメリカのサイファイ・チャンネルの番組「真実か嘘か? 超常現象ファイル」(原題:Fact or Faked: Paranormal Files )では、車のヘッドライトの可能性を検証している。怪光が見える方向の先には、国道が走っているからだ。

しかし番組で実際に車を走らせて検証してみたところ、ヘッドライトはまったく見えなかった。つまり怪光の正体はヘッドライトではないのだ。

他にも番組では飛行機のライトの可能性も考え、実際に飛行機を飛ばして検証を行っている。ところがこちらは、光は確認できたが、最低高度で飛行してもポールディングの怪光が見える場所とは明らかに高度が違い、音もわかるため、飛行機のライトを誤認したという可能性もなくなった。

結局、番組ではポールディングの怪光の原因はわからず、未解明に終わっている。

科学的な検証によって原因が不明となったのならば、残る可能性は超常現象だろう。実は地元では手がかりとなる伝承が語り継がれている。昔、怪光が見える場所の近くには線路があり、そこには踏切番がいた。彼の役割は列車が通るときにランプを使って危険を知らせることである。

ところがある日、踏切番はランプで危険を知らせようとして、もう一台の列車にひかれる事故にあってしまう。そして不幸にも彼はそのまま 亡くなってしまった。ところがまだ現世への未練が強く残っていたのか、彼は再び現れる。幽霊となってランプをかざし、警告を続けているというのだ。

これがポールディングの怪光の正体として最も有力な幽霊説である。(以下、謎解きに続く)

謎解き

怪奇現象の報告にある出現というと、1回きりだったり、あってもせいぜい不定期だったりする場合が圧倒的に多い中にあって、このポールディングの怪光は、ほぼ毎晩出現するという点が特徴的である。

このように定期的な観測が可能な場合、デッチ上げなどではなく、何らかの日常的な現象が原因となっている可能性が考えられる。

正体は車のヘッドライト

2010年、国際光工学協会(SPIE)に所属するミシガン工科大学の学生たちが、このポールディングの怪光に興味を持った。彼らは、さっそく出現場所であるロビンズ池通り近くの谷に向かうと、望遠鏡を使って怪光を観測。光は単体のときもあれば、複数のグループになっているときもあることがわかった。

「光はニセモノではない」とミシガン工科大学のジェレミー・ボスは言う。しかし幽霊鉄道員のランタンの光でもない。

粘り強い観測の結果、正体は車のヘッドライトであることを突き止めたのだ。
だが、ちょっと待ってほしい。【伝説】にあるとおり、アメリカの番組の検証では、ヘッドライトの可能性は消えたのではなかったのか?

そこで私はこの件について検証を行ってみた。その結果、番組で検証された地点は、怪光の目撃現場から北に約5キロ地点だったのに対し、ミシガン工科大学が光源として突き止めた地点は、そこから北にさらに5キロ、目撃現場からは約10キロ離れた地点であることがわかった。

つまり番組の検証で現場からヘッドライトが見えなかったのは、本来の光源となる場所と違ったことが原因だったのだ。以下に位置関係を示そう。

ポールディングの怪光の位置関係。(Google Mapより)

地図で見ると、ほぼ直線上に見えるが、実際には上りや下りに蛇行もあり、目撃現場からは視界の左右を木々が覆っているため、光源となる地点は針の穴を通すように一点しかない。そこからずれれば光は見えないのだ。

学生たちによる検証

学生たちの調査チームは光が見える方向を地図で探し、その方向に通っている国道45号線が有力であることを突き止めた。

そこでチームはメンバーのビル・ノークスを45号線へ向かわせ、彼は光源と推定される場所を通過する車をカメラで録画。一方、他の学生たちはポールディングにとどまり、光の出現を記録した。その結果、ポールディングの怪光が現れたときはいつも、車が通過していることがわかった。

さらに彼らは自ら車を運転して光を作りだし、光源と推定される場所がポールディングの怪光の出現と正確に関連していることを突き止めた。また、ハザードランプを点灯させると、ポールディングの現場では黄色い光が観測されることもわかった。

パトカーや改造車、トラックなどの場合も白以外の色が見えることがある。

以下はポールディングの現場から、怪光を望遠鏡によって観測した際の画像である。正体が車のヘッドライトであることは明白だろう。

「Unraveling the Paulding Light mystery」(http://www.techtube.mtu.edu/watch.php?v=1010)より

画像をご覧いただくとわかるように、光源となる地点は丘の上にあり、そこを通る車のヘッドライトは、丘を下るにつれて上下に動いているように見える原因ともなる。

ちなみに、国道45号線は1960年代に旧来の別のルートから現在のルートに変更されたという。これはポールディングの怪光が目撃されるようになった1960年代と一致している。やはり車のヘッドライトである可能性はきわめて高い。

とはいえ、そのライトが針の穴を通すようにわずかな隙間を通して見えることは、ある意味、奇跡的だ。たとえ正体はわかっても、その偶然の奇跡を楽しむのもまた一興かもしれない。

【参考資料】

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