懐疑論者紹介


このコーナーでは、私の好きな懐疑論者たちをご紹介します。
懐疑論者とは、わかりやすく言えば「本当にそれが事実であるのか、注意深く、客観的に立証を求めていく者」という意味です。


カール・セーガン

アメリカで最も有名な科学者。知的好奇心に溢れた人で、70年代に打ち上げられた宇宙探査機パイオニア10号と11号に、「宇宙人へのメッセージ」を積んだことでも話題を呼んだ。

また、80年代に発表された『コスモス』は大ベストセラーとなり、この本をもとにしたテレビ・シリーズは世界60カ国で放映された。 85年には、人類と地球外知的生命体との初めての接触を描いた小説『コンタクト』を発表し、97年にはジョディー・フォスター主演で映画化される。

若い頃は「月の裏の秘密基地」「イルカの知性」「超古代文明論」などの肯定論者でもあったが、間違いがわかればその都度修正してきた。この姿勢はビリーバーだった頃の私にとって、事実に目を向けるきっかけを与えてくれた。

1996年12月、62歳で惜しくも亡くなった。死に際し、ジェイムズ・ランディはセーガンのことを、「私にとって数少ないヒーローの1人」だと語っている。

アメリカにある、超常現象の懐疑的調査組織・CSICOP(サイコップ
※注 2006年に名称を「CSI」(シー・エス・アイ)に変更)の創設メンバー。ローウェル天文台のエドワード・ボーエルによって発見された小惑星
「Sagan」は、彼の名誉にちなんで命名された。

「『懐疑する精神』と『驚嘆する感性』の結婚」を指針とし、見事にそれを実践した人でもある。

※著書には『エデンの恐竜』(秀潤社)、『宇宙との連帯』(河出書房新社)、『惑星へ』(上・下 朝日新聞社)、『人はなぜエセ科学に騙されるのか』(上・下 新潮社)ほか多数。

 

ジェイムズ・ランディ

「ジ・アメージング(驚異の)ランディ」として有名な、アメリカのプロマジシャン。懐疑論者の中では最も有名かつ人気のある人物。

15歳のときに「降神術」を暴いたが、逆に大人たちから「神聖な宗教の集まりを汚した」として警察に訴えられ、拘置所に4時間抑留されてしまう。ランディは、このときのことを「世界中の 心霊術師、超能力者にとって最も不幸な出来事」であったと語っている。

彼は、このときイカサマ心霊術師に対し一生をかけた復讐を誓い、その後の人生で数多くのイカサマを暴いてきた。

1950年代から、脱出技を得意とするプロマジシャンとして活躍。70年代には、ユリ・ゲラーとの対決で世界的な注目を集める。80年代では、ピーター・ポポフという、信仰治療を行う人気テレビ伝道師のイカサマを暴露したことでも注目を集めた。

この他にも、超心理学者はマジックと超能力の区別もつかないことを暴いた「プロジェクト・アルファ」や、大衆やマスコミがいかに騙されやすいかを示した「カルロス事件」など、大がかりで派手な計画を数多く実行している。

96年には、マッカーサー財団から受けた助成金を基に「ジェイムズ ・ ランディ教育財団」を設立。自分の目の前で超能力を示すことができれば一億円をくれてやるという「100万ドル・パラノーマル・チャレンジ」という企画を行っており、大きな注目を集めている。

CSICOP(サイコップ)創設メンバー。90年代前半にユリ・ゲラーとの裁判を懸念して一度退会したが、2010年1月に復帰。1981年に発見された小惑星「Randi」は、彼の名誉にちなんで命名されている。
また、サイコップ主催のアンケート投票では、「20世紀を代表する懐疑論者10傑」の堂々第一位に選ばれた。

※著書には、『Film-Flam』(イカサマ超常現象の告発書)、『The Truth About Uri Geller』(ユリ・ゲラーのトリックを徹底暴露)、『The Faith Healers』(カール・セーガンとの共著でイカサマ治療師を告発)、『ノストラダムスの大誤解』(太田出版)ほか多数

 

フィリップ・ジェイ・クラス

アメリカ航空電子工学の専門雑誌『Aviation Week and Space Technology』の元編集長。

1966年よりUFO現象の調査・解明に精力的に取り組む。「MJ-12文書」のトルーマン大統領のサインが偽物であることを見破ったり、プロジェクト・ブルーブックの未解明事件を解明してきたことでも有名。
「UFO界のシャーロック・ホームズ」とも評される。

CSICOP(サイコップ)創設メンバー。同団体内にあるUFO小委員会の会長を務めていたが、2005年8月9日に逝去。享年86歳。

※著書には『UFO Abductions, A Dangerous Game』、『UFOs, The Public Deceived』、『UFOs Explained』などがある。

 

エリザベス・ロフタス

ワシントン大学の心理学者。記憶と目撃証言に関する研究の第一人者として知られる。
アメリカで社会問題にまでなった「抑圧された記憶」という神話に警鐘を鳴らし、これまでに数多くの裁判で証言を行ってきた。CSI会員。

※著書には、『抑圧された記憶の神話』(誠信書房)、『目撃者の証言』(誠信書房)いずれもキャサリン・ケッチャムとの共著。『目撃証言』(岩波書店)などがある。

 

ハリー・フーディニ

アメリカの伝説的マジシャン。売名家で自意識過剰なところもあったが、人を惹きつける魅力に溢れた人物でもあった。

17歳のときにプロ入りを決意するも、その後10年近く鳴かず飛ばずの状態が続いた。しかし興行師マーチン・ベックと組んでからは一躍有名となり、スター街道を邁進。海外に巡業に行く際は得意の脱出業を武器に、行く先々の警察署や刑務所で牢獄破りをして見せた。

有名なところでは、「ロンドン随一の犯罪人」チャールズ・ピースを収容していた殺人犯専用監獄の脱出がある。

フーディニを裸でピースのいた2階の牢に入れると、ドアを3重に施錠し、フーディニの着ていた服は別の牢に入れてそこも3重に施錠。さらに脱出を阻止するため、監獄区域に通じる鉄の門にも七つのレバーがついた鍵をかけた。ところが、その5分後にはちゃんと服を着たフーディニが現れ、警官たちを驚愕させたという。

この他にも、製作に5年もかかったという、当時世界一複雑で堅牢な手錠をはずして見せるなど、「脱出王」としてマジックの歴史に不滅の名を残した。

後年はアンチ心霊主義(スピリチュアリズム)の急先鋒としても活躍。
自ら「心霊主義を叩きのめす鉄槌」を自任し、数々のイカサマを暴いた。有名な『サイエンティフィック・アメリカン』誌での懸賞金を懸けた超能力者探しのエピソードは、人気ドラマ「TRICK」のモチーフにもなる。

フーディニ自身は死後の生命というものを信じていたが、結局本物の霊媒を見つけることはできなかった。1926年に逝去。死に際しては、妻のベスと交わした暗号を使い、もしあの世があれば交霊会で必ずその暗号を送る、と誓ったことでも有名。このエピソードに関しては、当サイトの『フーディニの暗号』で詳しく紹介している。

※著書にはロベール・ウーダンを誹謗した『The Unmasking of Robert-Houdin』ほか、マジック、心霊主義関連の本など多数。

 

レイ・ハイマン

オレゴン大学の心理学者。コールド・リーディングのスペシャリスト。
若い頃は手相占いの占い師をしたこともあり、多くの客の証言から自分には超能力があると信じていた。

しかしあるとき、「手相から読み取ったことと正反対のことを言ってみたらどうなるのか?」と疑問に思い、それを実行したところ、彼の信者はそれまでと全く変わらず熱狂的だったという。これをきっかけに彼はこの種のものに懐疑的になった。

CSICOP(サイコップ)創設メンバー。現在は毎年のように政府機関から依頼のある、霊能者の透視や予知の真偽についても調査している。
ただし50年近く調査を続けているが、未だに本物と言える者には出会ったことがないという。

※著書には、『The Nature of Psychological Inquiry』、『The Elusive Quarry』、『Creativity and the prepared mind』、ほか多数。

 

リチャード・ワイズマン

イギリスの元プロ・マジシャンで、20代前半にはアメリカのマジック・キャッスルの舞台に招待されるほどの腕前を持っていたが、マジシャンとして活躍していくうちに観客がトリックにハマる心理のほうに興味を持ち、プロ・マジシャンから心理学者へ転向。現在は、イギリス・ハートフォードシャー大学で心理学の研究をしている。

研究対象は、超常現象、詐欺、運など、ユニークなものが多く、特に超常現象の心理学的な研究では世界的に有名。研究室はエジンバラにある世界屈指の心霊スポット「ボールド」と呼ばれる地下洞窟にある。

CSI会員。最近では、ロシアの超能力少女として話題となったナターシャ・デムキナの実験にCSI側として立ち会った。

※著書には、『Deception & Self-Deception: Investigating Psychics』、『Magic in Theory』(ピーター・ラモントとの共著)、『運のいい人、悪い人―運を鍛える四つの法則』(角川書店)ほか多数。

 

ジョー・ニッケル

マジシャン、探偵、などの職業を経て、現在は世界で初めて超常現象の調査を本職とする懐疑論者となった。

もともとはマジシャンになった1969年頃に、疑似科学や超常現象の懐疑論者として自覚し始め、フーディニの足跡を辿り始めた。
1988年にはCSIの正会員に選出され、2000年の11月には、優れた懐疑論者に贈られる「Distinguished Skeptic Award」を、オーストラリアのシドニーで開催された第3回世界懐疑論者会議で受賞。

超常現象の調査において欠かすことのできない存在で、これまでに数々のミステリーを解明してきた調査者である。CSI理事。上級調査員。

※著書には、『ニッケル博士の心霊現象謎解き講座』(邦訳:太田出版)、オレンジ郡警察署・鑑識研究所の分析官ジョン・フィッシャーとの共著として、『怪奇の世界―超常現象や歴史上の謎、怪奇事件の不思議を暴く』、『犯罪捜査学入門』、『オカルト探偵ニッケル氏の不思議事件簿』(邦訳:太田出版)、ほか多数。

 

ミルボーン・クリストファー

アメリカの名マジシャン。アメリカ奇術師協会(SAM)の会長時代に、超常現象の調査委員会を協会内に設置。 自らその会長に就任すると、多くの調査を行った。

超常バスターとしても有名で、人の心が読めると言われた、レディ・ワンダー超能力事件の真相を暴いたことでも知られる。

彼が書いた心霊現象や超能力に関連した本は、超常現象を扱った多くの本で参考文献として利用されている。

1984年逝去。CSICOP創設メンバー。

※著書には、『ESP. seers and psychics』(心霊関係者の経歴や、イカサマの手口を紹介)、『Mediums. Mystics and the Occult』(真面目な心霊研究の研究手段と、イカサマをどうやって区別するか内幕から紹介)、『Houdini』(ハリー・フーディニの伝記)他多数。

 

マイケル・シャーマー

アメリカの三大懐疑主義団体のひとつ、「スケプティクス・ソサエティ」を創設し、現在はその会長。カリフォルニア工科大学で懐疑主義の講義も主催している。

元レーサーであったが、カール・セーガンの講演をきっかけに懐疑論者となる。テレビ番組にも多く出演し、イカサマ心霊術師の暴露なども行っている。現在、アメリカで最も活動的な懐疑論者の一人。

※著書には、『人はなぜニセ科学を信じるのか』(1・2 早川書房)、『Hou We Believe』、『The Science of Good and Evil』ほか多数。

 

マーチン・ガードナー

作家、アメリカのパズル界の大御所、数学者。雑誌『サイエンティフィック・アメリカン』で数学ゲームのコラムを25年にわたって担当したことでも知られる。

またアマチュア・マジシャンとしても有名で、『JINX』や『PHOENIX』をはじめ多くのマジック誌に寄稿している。クロースアップ・マジック、中でも即席マジックの第一人者でもある。

現在までに数え切れないくらい多くの本を書いているが、その中でも疑似科学や超常現象に関連した本も多く書いている。ユリ・ゲラーをパロディーにした「Uriah Fuller」というペンネームで2冊の本を書いたこともあり、その本の中でゲラーのトリックを暴いている。

CSICOP創設メンバー。小惑星「Gardner」は、彼の名誉にちなんで命名された。2010年5月22日に95歳で逝去。

※著書には、『奇妙な論理 』(1・2 早川書房)、『インチキ科学の解読法』(光文社)、『マーティン・ガードナー マジックの全て』(東京堂出版)、ほか多数。