
「私には、人に言えない(と言いつつ自慢している)超能力、もしくは霊感がある」、「テレビとかに出ている超能力者はニセモノだけど、私の知り合いは本物」
こういった自称超能力者や、知り合いに超能力者がいるという話は比較的よく聞くことがある。しかし、「じゃあ、その超能力って本物なの? 証明できるの?」という話になると、まったく証明にならない事を話し出された、といった経験はないだろうか。
私たちが求めているのは、勘違いやイカサマではない「本物」の超能力である。
ところが実際に聞く話は肝心なところが曖昧、テレビでは「実験」と呼ぶことすら恥ずかしいようなパフォーマンス、本物だと決めつけた上での生ぬるい番組構成などばかりである。
見ていて消化不良というか、もっとハッキリした企画をやってくれ! と思ったことはないだろうか。私は「本物」を見てみたいと願うようになればなるほど、実際に本物の超能力者がいればちゃんと発見できるような、面白い企画があればいいのにと思ってきた。
しかし、実際にあったのである。
それはアメリカの超常業界のスーパースターであるジェイムズ・ランディが企画した
「One Million Dollar Paranormal Challenge」というものだ。
この企画をわかりやすく説明すれば、「口先だけの話はもういらない。本当に超能力があるなら実演できるよな? 俺の前で出来たら1億円やるからかかってこい!」という、非常に豪快なものである。
この企画が一番最初に始まったのは1964年。当時の賞金は1000ドルで、ランディが個人的に行っていた。しかし現在では「ジェイムズ・ランディ教育財団」が主体となって行ない、より公的なものになった。
挑戦者はこれまでに1000人以上。テストは2段階になっており、まず予備テストに合格し、その後に正式なテストに合格しなければならない。現在のところ正式テストはおろか、予備テストに合格した者すらゼロである。現実は厳しいのだ。
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ここからは、ランディが行なったテストにはどんなものがあるのか、またどのような超能力者が挑戦してきたのか、その具体例を紹介しよう。
まずは、「目隠しをした状態でも『精神的な知覚』によって情報を読み取ることができる」と主張した、ロシアの超能力少女ナタリア・ルロヴァの挑戦。(『TIME』誌の2002年2月6日号に掲載)
ロシアの超能力少女 vs ジェイムズ・ランディ
ナタリアはまずウォーミング・アップとして、目隠しをした状態で目の前に置かれたカードに何が描かれているか、そして色紙の色を当てるということを行なった。
結果は全て成功!
もしこれが普通のテレビ番組なら、ここで「超能力者は実在した!」などと言って番組は終わりになっていただろう。
しかしこの自称超能力少女の前にいる人物は、「最強のデバンカー(正体暴露者)」と言われるジェイムズ・ランディである。そして1億円の賞金を懸けた挑戦でもある。この程度のパフォーマンスで「本物」と認められるほど甘くはない。
ウォーミング・アップは終わり、今度はランディがテストする番だ。彼はナタリアの一連のパフォーマンスを観察した後、次のように言った。
「英語だけを話すように。また、顔をむやみに動かしてはならない」
英語だけ話すようにと言ったのは、ナタリアの周りには彼女の母、コーチ、弁護士がいて、実験中に彼らとロシア語で話をしていたからだ。ナタリアは3年前にロシアからアメリカに移住しており、英語も話すことが出来た。しかし実験中は、ランディにはわからないロシア語を使っていた。
これでは目隠しをしていない周囲の人間が、ロシア語を使ってナタリアに情報を伝えていたとしても判別できない。だから、何かあれば(ランディにもわかる)英語を使って会話するように忠告したのだ。
続いて顔をむやみに動かすなと言ったのは、ナタリアは実験中にやたらと顔を動かしていたからだ。「精神的な知覚」で情報を読み取るとか言っておきながら、こんな紛らわしい動作をしていたのでは、「顔を動かすことでできるわずかな隙間から覗いている」と疑われても仕方がないだろう。
もし彼女に本当に超能力があるなら、こんなイカサマ防止策など全く問題にせず、テストはパスしていたはずだ。しかし結果は違った。このわずかなイカサマ防止策をすると、ナタリアの自称超能力は突然消え失せてしまったのだ。
あれだけ見事に当てられたカードの種類や色がまったく当たらない。結局1時間後、ナタリアの弁護士は敗北を認めた。
このテストで重要なところは、子どもでもイカサマは行うということである。実際このケース以外にも、超常現象に関わった子どもがイカサマを行った事例は多くある。よく聞く、「子どもだからインチキを行なうはずがない」という意見には、まったく説得力がないとよくわかるだろう。
占星術師 vs ジェイムズ・ランディ
続いては、1989年6月にアメリカで放送された『Exploring Psychic Powers Live』という番組から。この番組は生放送で、放送時間内に超能力を発揮してみせれば、その場で10万ドルを進呈するということで人気があった。
最初に挑戦したのは占星術師。
この占い師は、事前に選ばれた12人のうち、10人の星座を当てられたら10万ドルがもらえる約束だった。しかし結果は、1人も当てられずに敗退。
オーラが見える超能力者 vs ジェイムズ・ランディ
次の挑戦者は、オーラが見えるという超能力者。
オーラが本当にあるなら頭の上にもあるだろうということで、この超能力者は
超能力者は、10個の衝立の向こう全部に人がいると主張。ところが実際にいたのは4人だけ。本当にオーラが見えるなら楽勝のはずだったが結果は敗退。偶然でも5人は当てられる的中率よりも下回った。
ダウザー vs ジェイムズ・ランディ
挑戦者は、棒を使って水源や油田を見つけられると主張するダウザー。
10個の箱のうち、どれかに水が入っているので、それを当てるという実験に挑戦した。しかし、しょっぱなからハズし、その後もダメで結局敗れ去った。
透視能力者 vs ジェイムズ・ランディ
挑戦者は、透視能力を持つという女性超能力者。
彼女が挑戦したのは、5種類のESPカードの透視を250回繰り返し、82回以上当てるというものだった。ところが、結局当てることができたのは50枚だけ。偶然でも5分の1は当てられるので、ちょうど確率どおり。つまり超能力ではなく偶然。
サイコメトラー vs ジェイムズ・ランディ
挑戦者は、持ち物から情報を読み取る「サイコメトリー」という超能力があると自称するサイコメトラー。実験は、12人の市民から提供された腕時計と鍵の所有者を当てる、というもので、合格ラインは9組のマッチングだった。しかしこのサイコメトラーが当てられたのは、たったの2組。まぐれ当たりよりも下だった。
結局、ランディに挑戦した自称超能力者たちは全員敗退。しかし上記の合格ラインの設定は、ランディや番組側が勝手に決めたものではない。超能力者側とランディとの合意によって、契約を結ぶ形で決められたものだ。
これは、番組以外で挑戦してくる全ての挑戦者に対しても同じことである。
誰も「百発百中で当てろ」などとは言っていないのだ。トリックの出来ない、そして勘違いや思い込みなど入り込む隙のない実験で、超能力者側が合意した合格ラインを上回ればいいだけなのである。
本当に超能力を持っているなら簡単なことだろう。
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ランディがサイキック・チャレンジを始めたのは1964年のことだが、懐疑論者やデバンカーがこういった企画を行ったことは過去にもあった。ハリー・フーディニなどは、私的に1万ドルの賞金を懸けて超能力者と対決していたほどである。
しかし、有名、無名を問わず多くの超能力者がランディやフーディーニに挑戦したにもかかわらず、いまだに本物は見つかっていない。超能力者側が挑戦してこないのであれば、自ら乗り込んで挑戦したこともあったがそれでも本物は見つからない。
口だけで肝心なところでは逃げ続ける自称超能力者たちなら多くいる。 しかし、彼らは自らの能力が、本当に“超”をつけるほどのものなのか、その真偽と向き合うことから逃げる傾向があるようだ。
サイキック・チャレンジに挑んだ過去の挑戦者たちは自信を持っていた。イカサマなら騙しきる自信を、思い込みなら自らの自称超能力を証明できるという自信を。
私は、なんだかんだ言い訳するズル賢い自称超能力者よりも、自らの能力を信じきり見事に散っていった彼らのほうに好感を感じる。
もし“本物”がいるのなら、言い訳して逃げ続ける自称超能力者ではなく、挑戦した自称超能力者の中から見つかるだろう。そしてその時こそ、「自称」ではなく、誰もが認める本物の「超能力者」と呼ばれることになるだろう。
占いでも、予知でも、霊感があるでもいい。
我こそはと思う人は、ぜひランディに挑戦してほしい。詳細は以下に書いてある。英語が読めなくても、翻訳ソフトや無料の翻訳サイトを使えば意味は分かるだろう。
的中率は100%を要求されるわけではない。偶然以上の、意味のある的中率を示すだけでいいのである。それで1億円が貰えるのだ。しかも歴史に不滅の名が残ることも間違いない。ぜひ自信を持って挑戦してほしい。
(記事公開日:2005年6月5日)
