カナダの巨大水棲獣「オゴポゴ」

伝説

カナダ西部のブリテッシュ・コロンビア州にあるオカナガン湖では、「オゴポゴ」と呼ばれるUMA(謎の未確認動物)についての目撃情報が、これまでに200件以上も報告されている。

オゴポゴの想像図

カナダ政府発行の切手に描かれたオゴポゴの想像図
(http://www.hancockhouse.com/products/product_images/Ogopogo/?C=N;O=A)より

古くは1872年に、スーザン・アリソンという女性が定期蒸気船のデッキから目撃したという記録が残っているが、それより前から先住民の間ではオカナガン湖に「ナイタカ」(“湖の悪魔”の意味)という怪物が住むという伝説もある。

他に、「ナーイタカ」「ナハイトク」とも呼ばれる。

また1967年にはエリック・パーソンが初めてオゴポゴの撮影に成功。1992年7月にポール・デマーラが撮影したビデオでは、水上スキーヤ-が実際に湖面に浮かぶオゴポゴと接触した場面が撮影されている。

多くの目撃情報から推測したオゴポゴの特徴は体長約6メートルから30メートル。細長いヘビのような体を持ち、頭は馬、もしくは牛に似ていて、上下に体をくねらせながら泳ぐと考えられている。

正体として有力視されているのは、今から約4500万年~3600万年前に生息していた古代鯨の「バシロサウルス」(別名ゼウグロドン)である。複数の目撃情報や証拠写真を考慮すれば、このバシロサウルスが生き残っている可能性は非常に高いと考えられている。

謎解き

オゴポゴは、カナダのご当地UMAのひとつである。比較的動画や写真が豊富であることから、その実在を強く主張する声も根強い。

なかでも下記の3つのフィルムは別格だとされている。これらは、オゴポゴの写真やビデオを数多く収集し、2001年6月には『In Search of Ogopogo』(『オゴポゴを求めて』)という本も出版しているオゴポゴ研究家のアーリン・ガールが、多くのビデオの中から「特に信憑性が高い」として挙げている3つのビデオである。

ここでは、その3つを取り上げて詳しくみてみよう。

アート・フォールデンが撮影したビデオ(1968年)

まずは1968年にアート・フォールデンが撮影したフィルム。下の画像はそのビデオの一部で、中央に見える黒く横に細長い線がオゴポゴではないかと言われているもの。

フォールデンの映像

フォールデンの映像。
「都市伝説~超常現象を解明せよ!~湖の怪物」(ナショナルジオグラフィックチャンネル)より。以下も同じ。

フォールデンによれば、問題の物体は岸から約270メートル先を高速で泳ぎ、長さは推定約20メートルほどだったという。

この話をそのまま信じれば確かにすごい話ではある。しかし目撃情報をそのまま信用するのは危ない。

これは超常現象調査の専門家であるジョー・ニッケルベン・ラドフォードも同じ考えだった。彼らは現地調査を行い、次のような結果を得ている。

まずこのビデオが撮影された場所を特定すると、GPSとレーザー測量機器を使用して目撃情報の真偽を確かめた。すると測定の結果、実際は岸からの距離は25メートルで、物体は小さく、動きも遅かったことが判明。ただし物体が予想より小さかったとはいえ、10メートルほどはあるという結果だった。

オカナガン湖に10メートル級の生き物は生息していない。そこでもう一度画像を見てみよう。確かに「黒い部分」は長いのがわかる。しかしその先端(画像では右側)には「白い部分」も確認できる。この調査の際、ニッケルは次のように語っていた。

問題はどこまでが実体で、どこからが波かだ。

もし白い部分が実体で、黒い部分が波だとしたら、物体はかなり縮んでしまう。もしかしたら実体は小さいのかもしれない。

ここで登場するのは、長年にわたりFBIの捜査官を指導、現在はFBIの顧問であり、ビデオの鑑定を専門とするグラント・フレデリクスだ。実際にこのビデオを鑑定したフレデリクスによれば、実体は白い部分で、この白く光沢のある物体は銀色の魚の特徴とよく似ているという。

つまりこのビデオに映っているのは、大きな魚と、それが通った後にできる波の可能性が高いのだそうだ。(フレデリクスは実際にこの湖でよく釣りをしている)

ちなみに数多くのビデオを鑑定してきた彼からすれば、この映像がオゴポゴに見えてしまうのは、「見る人が怪物を探し求めているから」だという。

ラリー・タールが撮影したビデオ(1980年)

2番目は、1980年8月11日にオカナガン湖のほとりで撮影されたビデオ。

この日、家族で遊びに来ていたラリー・タールは、岸辺の海水浴客が沖のほうを指差しているのにつられ、その方角にビデオを向けて撮影した。そのフィルムの一部が下の画像である。中央付近で横に白く波立っているのが、オゴポゴだと言われているもの。

ラリー・タールの映像

ラリー・タールの映像

しかしこのビデオも、ビデオ鑑定の専門家であるフレデリクスの鑑定によれば、次の結果になるという。

単なる波の動きと考えて問題ない。何か特別な現象のようには見えない。

このことはディスカバリー・チャンネルで放送されていた「超常現象調査隊」という番組でも、実際に波が起きた映像とオゴポゴだと言われている映像を見比べ、両者がよく似ていることを確認している。

ポール・デマーラが撮影したビデオ(1992年)

3番目は、1992年の7月にポール・デマーラが撮影したビデオ。この映像が興味深いのは、【伝説】でも紹介したとおり水上スキーヤーがオゴポゴとされる物体と接触している点だ。

まずは下の画像。これは水上スキーヤーと接触する前の物体の様子。

デマーラの映像

そして、その後の様子をとらえた静止画像が下の3枚。

ボートが接近

(1)ボートが接近……

ボートが旋回

(2)ボートが旋回

水上スキーヤーが旋回に失敗……

(3)水上スキーヤーが旋回に失敗……

(1)の画像は、水上スキーヤーを引っ張るボートが物体に接近しているところ。そして(2)の画像は物体の手前でボートが旋回し、水上スキーヤーも旋回しようとしているところだ。オゴポゴに大接近しているとすれば見ている方もハラハラする。

ところが(3)の画像になると、水上スキーヤーは旋回に失敗。コケて水没してしまう。もし問題の物体がオゴポゴであったならば、このあとは大騒ぎの展開となっていたはずだ。

ところが実際はどうだったのかというと、何事もなかったかのようにスキーヤーは浮かび上がり、何事もなかったように走り去ってしまう。

……あまりにも普通すぎる。しかし、その無反応さが、逆にこの物体の正体についてヒントを与えてくれている。この映像を鑑定した前出のフレデリクスによれば、この物体が流れている場所は水流が激しく、問題の物体がゆっくりと浮き沈みを繰り返している様子は、木が流れる様子によく似ているという。

つまり水上スキーヤーが無反応でまったく慌てる様子がなかったのは、物体の正体が「流木」という、どこの湖にもあるようなありふれたものだったからだと考えられるわけである。

今後に期待

さて以上のように、オゴポゴの実在を強く示すとされる3つのフィルムは、どれも実在の証拠とするには弱いと言わざるを得ない。しかしオカナガン湖では観光客も多く訪れるため、また新たな証拠が出てくる可能性はある。今後に期待しておこう。

【参考資料】

  • 並木伸一郎『未確認UMAの謎』(学研、2002年)
  • 南山宏『生きていた恐竜・翼竜・海竜・ドラゴンUMAの謎』(学研、2005年)
  • ムー特別編集『世界UMA大百科』(学研、1988年)
  • 「都市伝説~超常現象を解明せよ!~湖の怪物」(ナショナルジオグラフィックチャンネル)
  • 「超常現象調査隊」(ディスカバリーチャンネル)
  • Jerome Clark『Unexplained!』(Visible Ink Press, 1999)
レクタングル広告(大)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存

フォローする