
1945年7月、メキシコのアカンバロという村で恐竜をかたどった土偶が発見された。発見者はドイツの実業家バルデマール・ユルスルートで、発見後の7年間は、使用人の農夫ディロン・ディナヘロ一家が3万2000個を発掘した。
1968年には、この土偶に興味を持って研究をしていたキーン州立大学のチャールズ・ハプグッド教授が、土偶破片のサンプルを3種類、アメリカの年代測定専門会社アイソトープ社に送って炭素14による年代測定を依頼。結果は、それぞれ紀元前1640年、紀元前4530年、紀元前1110年だった。
また翌年には、当時ペンシルバニア大学の研究所で開発されたばかりの熱ルミネッセンス年代測定法でも3種類の土偶破片の測定を行い、結果として3種類のサンプルとも紀元前2500年という値が出た。
これにより、アカンバロの恐竜土偶がニセモノである可能性は100パーセントなくなったといえるだろう。
定説では、恐竜が絶滅したのは6500万年前だと信じられている。しかし土偶が示すように、恐竜は紀元前2500年前まで生きていて、人類と共存していたのである。
この「アカンバロの恐竜土偶」は、年代測定法の結果によりニセモノである可能性はない、と言われることが多い。しかし、肝心の年代測定は信頼できる方法で行われたのだろうか? 答えは「ノー」である。
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まずは炭素14年代測定法について。これで測れるのは生物などの「有機物」である。土偶は「無機物」。通常、土偶などの無機物を年代測定するときは、同じ地層などから発見された木片(有機物)などを測定し、年代を割り出す。
ところが、この恐竜土偶では土偶自体を測定してしまっている。これでは土の中に含まれている有機物などから、材料となった土の年代がわかるだけである。
こんな方法では、21世紀の現在でも私が古い土を使って土偶を作れば紀元前の値を出すことが出来てしまう。
つまり炭素14法で“土偶自体を年代測定”しても、“土偶が作られた年代”はわからないのである。
一方、熱ルミネッセンス法はどうか。この方法は、土器などが焼かれると、それまでに粘土が浴びた自然放射線がなくなることに注目している。測定するもの(土器)に熱を加えると、焼かれた後に浴びた放射線量に応じて発光することを利用し、年代を測定する方法だ。
これは土偶などの作られた年代を測定することができる、有効な方法といっていいだろう。しかし欠点もある。土偶が比較的低温で焼かれたりして生焼けだと、古い年代が出てしまうことがある。また、人為的に放射線を浴びせることでも古い年代を出すことが出来てしまうのだ。
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信じている人たちは年代測定法の結果以外にも、アカンバロの恐竜土偶がイカサマではない根拠があるという。以下がよく挙げられるものだ。
・土偶の出土地域内にあった警察署長の家の床下を掘ったところ、同種の土偶が43個も見つかった。
これはメキシコの警察事情を知っていれば、そう簡単に信用できるものではない。汚職や買収が横行していることは周知の事実である。もちろん署長がイカサマに加担したという証拠はないが、警察の実情、そしていくら出土地域内とはいえ、試しに床下を掘ったら期待通りに土偶が見つかったという、このうますぎる話は、もっと疑ってみるべきだろう。
・イカサマの主犯とされるティナヘロは、最終学歴が小学4年である。生物学や考古学の知識がないので恐竜土偶を作るのは無理である。
土偶が生物学的に見て、精密に作られているというなら話はわかる。しかしアカンバロの恐竜土偶は、はっきり言ってチャチである。この程度の出来なら、雑誌やマンガの絵を見ながら作った可能性も十分考えられる。
また当時は日本のゴジラ型のような、直立した恐竜像がよく描かれていたが、アカンバロの恐竜土偶の中には、なぜか当時の間違った恐竜像の影響を受けているものもあった。現在では様々な証拠から、ティラノサウルスなどは地面に水平になるような姿勢で活動していたと考えられている。
・発掘された7年間で、3万数千個もの土偶を作るのは物理的に不可能。
確かに発掘された7年間で、3万数千もの土偶を作るのは難しいように思える。
しかしよく考えると、「発掘された7年間で作った」と期間を限定する正当性はない。初めて発見された1945年よりも前から作っていた可能性もあり得るのである。そしてそう考えれば、3万数千個の土偶を作ることは不可能ではなくなってしまう。
さて最後は、このアカンバロの遺跡で調査をした、考古学者のチャールズ・ディ・ペソの指摘を紹介しておきたい。
ディ・ペソは、発掘現場でイカサマの最大の根拠となるものを発見した。それは、
まだ「未発掘だと言われている場所」にあった、明白な埋め戻しの跡だった。
(記事公開日:2005年4月21日)
